深夜過ぎ

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聞きたいような、聞きたくないような。 私の緊張は極限まで高まって、指先が震えだす。 そんな緊張感は彼にも感染したらしい。 言葉に詰まった彼は低い声で言った。 「俺はアイツと付き合う事にした。」 アイツとは噂の彼女の事だとすぐに分かった。私は言葉なく頷いた。 「でも、何か違うなと思った。やっと元カノの事を吹っ切れたから気持ちを入れ替えて付き合おうと思ったのに、結局、アイツを比較してる。」 「それは仕方ないよ。吹っ切れたのと比較するのは全然意味が違うよ。そんなの当たり前のことでしょう?私もきっと…今後好きな人が出来ても比べてしまうと思う。でも、だからと言って未練があるって事にはならないと思う。いつか自然に自分の中に吸収されて意識しなくなるよ、きっと。」 「でも、違うんだ。」 「え?」 妙に歯切れの悪い彼が私の言葉を遮った。
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