間宮徹と山崎春子の場合

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「死にたい」 ある晴れた昼下がりの午後。何気なく呟かれた言葉に、俺は耳を疑った。 「は?」 「死にたいな、徹」 春子はおもむろに呟いて、優雅に紅茶を啜った。俺の部屋に似合わないオレンジペコの香りが広がる。 紅茶よりコーヒー、そんな俺の部屋に当然のように常備されているのが当たり前になったのは、いつからだろうか。少なくとも一年や二年そこらの話しではない。 「…死ねば?」 春子はゆっくりとした動作でもう一口紅茶を啜った後「私、徹のそういうところ好きよ」と微笑んだ。
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