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――アクタノの森
「はぁ、それにしても、刺激がないわね」
少女はため息をつきながら、本当につまらなさそうにつぶやいた。
ここはアクタノの森。
この世界……リアスの中でも辺境の地にある穏やかで平和な森。
近くにはノージュという村がある。
小さな山村だが、皆、仲良く平和に暮らしていた。
そんなノージュの村長の娘で、この物語の主人公の一人、アリス。
彼女は今年で14になる。
お転婆だが、気立ては良く、村の皆にも好かれていた。
「あーあ、なんで、私がお父さんの代わりに森に水を汲みにいかないといけないのかしら」
アリスは、またため息をつきながら、一人そう悪態をつく。
本来なら、水汲みは村長の仕事である。
この水は村の人間の生命線。
リーダー自ら、いくことが大切なのである。
村長が行くことができない時でも、青年会の会長など、男が行くことが普通である。
しかし、今日から村の男たちは、出稼ぎだ。
そうなれば誰が行くか、となった時、村長の娘であるアリスに白羽の矢が立つのは必然である。
「まぁ、ぐちぐち言ってても仕方ないものね。
もう少しだし、早く汲んできてしまおうっと」
アリスは少し先の目的地を見て、足を速める。
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