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「じゃあ、ちょっとだけ考えたげる」
手近にあった誰かの机をナオキの席までズルズルと引きずり、アイコはその上に腰掛けて自分のケータイを片手でパチンと開いた。
「…ナオキってさ、昔っから小説書いてる時が一番生き生きしてるよね」
「それは、褒められてるのかけなされてるのかビミョーなラインの判定になりそうだ」
ニヤリと挑発的に笑うアイコに、ナオキもニヤリと笑い返す。
「…ま、趣味があるってのはいいことだよ。私には小説書く楽しさなんてわかんないけど」
アイコは肩をすくめてそう言って、さらにこう付け加えた。
「だって小説なんてさ、所詮うそっぱちの絵空事じゃん?」
だがさすがにこの意見にはナオキも口を尖らせて反論する。
「そんなことないよ。小説も現実も紙一重。うそっぱちの世界だって、現実にしちゃえばいいのさ」
ナオキは自信に満ち溢れた清々しい顔で、そう言って胸を張った。
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