二章 孤独

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何故、そんな人がそんな格好で電車に乗ったかはこの際関係ない。 農作業をして着替えてない。それが問題なのだ。 紳夜はアレルギーを生れつきもっている。植物の花粉、動物の毛がある程度、体に触れると鼻の中が鼻水地獄と化す。 農作業をしてたんだ。野菜にしろ、道端の雑草にしろ、何かしら着いているはず。 紳夜は着替えなどが入った、家を出る時持参したボストンバッグから、アレルギーに効く薬を取り出す。 2錠、そのまま口の中にほうり込む。 舌に薬の苦さが伝わる。 刹那、紳夜は唾液で飲み込んだ。 苦い。
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