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何分か見つめ合っただろうか
数秒だったかもしれない
それはきっと2人にも分からない
時間の感覚など麻痺していたんだろう
いや、きっと五感だけが働いていたのだろう
目の前の彼だけを感じるために
しばらくすると彼は顔をくしゃりと崩して笑い
「ありがとう。」
そう言って、机の上で祈るように組んでいた私の手を両手でそっと包んだ。
大きな私の手さえもスッポリとおさまる彼の手が少し震えていた。
噛み締めていた口唇をほどき、微笑むと、彼の手に力がこもったのが分かった。
そうして彼はもう一度、ありがとうと言った。
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