317人が本棚に入れています
本棚に追加
/41ページ
『すみません、飽きたならここまでの経緯をお話ください。』
「わかった。」
『はい、じゃあ私消えますんで、あとの事はお願いします・・・はい』
「わかった。」
神は泣きべそをかきながら、天井に続く梯子を登っていった。
(神は屋根裏部屋にでもいるのかよ・・・)
色々疑問に思うことはあるが、折角暇つぶしができたから話を戻そう。
経緯を話すとこうだ。まず、探すまでもなくインターホンは見つかった。
(見た目は普通のインターホンなんだな・・しかし音は違うかも)
――ポチッ
――ピーンポーン
(音も普通かよ・・・)
門についていたインターホンは一般的なインターホンで、俺のイメージしていたインターホンとは全く違った・・・
「なんだ面白くねぇな・・・」
元々低かったテンションがさらに下がり
(あー叔父さん殴りてぇ・・・)
と、へんな方向に八つ当たりがしたくなったが、ここには叔父さんがいないので
「いっその事このインターホン壊そうかな・・・」
『ちょっ!?どどどどどっどちら様でしょうか!?お名前とご用件をお話ください!!インターホンは壊さないでください!!!』
俺の独り言が聞こえたのか
インターホンからめちゃくちゃ焦った、男性の声が聞こえた。
「ちっ・・・あー転校生の持倉ですけど、門を開けてください。」
『(今、この人舌打ちしたよね!?)あっ今朝来るって言っていた転校生さんですね。案内人をそちらに向かわせるので少し待っていてください。今、門を開けるんで』
――ギィイイ・・・
やっと開いた門。
テンションが下がっていた俺は、門の開いた事で見えた学園の景色にことによって少しだけテンションが上がった。
「おー・・・」
『迎えがもう少しで到着する予定なのでもうしばらくお待ちください!くれぐれもインターホンなどの備品は壊さないように!!!!』
「分かりました。」
俺に釘をさしてから、インターホンから男の声が消えた。
迎えは別にいらなかったが、来てくれなら待つしかない
そう思いながら時雨はあたりを見回した。
学園はまだ見えないが、近くには大きい噴水がある。
噴水を囲むように綺麗な花たちが植えられた花壇と日に照らされキラキラとひかる白いベンチ。
微かだが、体育でもやっているのだろう、ピーピッ!!と笛の音が聞こえる。
あとは鳥のさえずりの音。
それしか聞こえない。
最初のコメントを投稿しよう!