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ユラユラと車で揺られながら十分と少し。
俺と幼なじみは新しくシワもない学生服に袖を通して、二人並んで座っていた。
「おい、日向?」
「ひ、ひゃい!?」
「…………」
「あうぅ……」
はぁ、とため息をつきながら隣に目を向ける。
すると案の定というべきか、極度の緊張で目を回していた。
そんな幼なじみを見て俺は呆れ気味に話しかけてみる。
「どんだけ緊張してんだよ。たかが入学式だろ?」
「あー! たかがって言った、たかがって!」
するとそいつは頬を含ませながら少し怒ってきた。
まあ、恐くはないのだが。
「中学で仲良かった子は夏輝以外いなくなっちゃったし、新しい環境で上手くやっていけるか不安なんだよぉー!」
「仲良かったって言っても俺含めて三人じゃんか」
「うぅー! 人の上げ足とらないの!」
「違う、お前のは自分から大袈裟にしてるだけだ」
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