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さすがに今回ばかりは彼のいう通りなので彼女も文句は言えない。
「ちゃんと気をつけないとねー?」
「わ、わかったわよ!」
シャルディはばつが悪そうに体を起こすと、そのまま立ち上がろうとしたが…
―あれっ、動けない!?
どうやら彼がきつく抱きしめているせいで身動きが取れないらしい。
「ねぇ、もう大丈夫だから放してくれる?」
「もう?」
振り返ると彼はなぜか不服そうだ。
「折角役得なのに!」
「やくとく?」
シャルディは何のことなのかと目を瞬かせ、首を傾げた。
すると胸のあたりに違和感を感じて視線を落とす。
彼の掌はしっかりの彼女の胸の上にとまっていた。
「ちょっと!どこ触ってるのよ!!!!」
彼女は顔を真っ赤にして綺麗な彼の顔を引っ張った。
「いたひ、いたいっ!」
「どさくさにまぎれてセクハラしないでっ!」
「いいじゃん、別に。だって僕らは婚約中なんだし?」
そうなのである。
この王子様のような見かけの青年は彼女の婚約者(一応)であり、この海賊船の船長でエドワード・ハリスという。
一番海が似合わない容姿の持ち主だが、本人は海が大好きなのだと言う。
そしてそんなエドワードは何を隠そう王家の人間で、王子という立場を隠して航海を続けている。
「だからって人前でこんなっ…!」
「じゃあ人前じゃなかったらいいの?」
「うっ、そういうわけじゃ…」
「今からベッド行く?」
「いっ、いきませーん!!!!!」
エドワードの誘惑に彼女は顔を真っ赤に染めながら抗った。
彼は意地悪だ。
シャルディがどう答えるかを知っていてわざと試すようなことを言ってくる。
しかも大胆でエッチだし、恥ずかしいこともさらりと言う。
聞いているこっちが恥ずかしい。
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