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「みんな元気にしてるかしら」
家族やメイドたち、みんなとの再会を想像するだけで心が躍る。
そんな時、騒々しい足音が響いたと思えば小太りの男がのっしのっしと体を揺らして走ってきた。
「お頭ーっ!お頭にお客さんですぜ」
彼はアガートという気弱な中年男で、この船の持ち主でありカタルナ海賊団の仲間である。
「お客さん?」
エドワードは眉間にしわを寄せた。
彼らがこの港に着くと知っている人物は一人しか思いつかない。
それはひょんなことから少し前に再会したエドワードの義弟・アンドリューだ。
昔は彼と交流はなかったのだが、偶然にもシャルディの友人で彼女がたまに連絡を取っているらしい。
正直なところ、エドワードとしてはあまり喜ばしいことではないのだが。
「アンドリューか?アンドリューなら勝手にはいってくれば…」
「いや、違うんです」
アガートに先導されて客人に会いに行くと、そこには意外な人物が立っていた。
アンドリューではない。
そこにいたのはにこにこと笑顔を浮かべた優男で、見覚えのある男だった。
「なんでお前がここにいるんだ?」
エドワードの表情がますます険しくなった。
「お久しぶりです。お元気そうですね、王子」
「悪いけど、僕はお前と話すことなんてないよ」
「おや、私は随分とあなたに嫌われているようだ」
「…別に」
口ではそう言ったものの、明らかにエドワードは嫌悪感を露わにしている。
「エディ、お客さんってアンディ?」
シャルディがひょっこりと顔を出す。
しかし、エドワードの前に立っている男がアンドリューではないことに気づいて首を傾げた。
―誰だろう?
彼は笑顔を崩さずにシャルディを一瞥した。
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