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「それはわかりませんが…」
「それにあの子、そんなにアンドリューと仲が良かったかしら?」
「それは私も存じかねます。ですが、二人の王子が同時期に同じ場所を訪れるのはどうも不自然な気がして…」
「確かに気になるわね」
アナスタシアは少し考え込んで、やがて口を開いた。
「いっそのこと、アンドリューに直接聞いてみましょうか。もしその考えが当たれば何かを知っているかもしれないし。確か彼はこの城にいたわよね?」
「はい、そのはずです」
果たして本当にアンドリューとエドワードに繋がりがあるかどうかはわからない。
けれど、ほんの少しでも手がかりがつかめるのならばそのほうがいい。
やっとエドワードに近づけそうなのだ。
―早く、早く可愛いあの子に会いたいわ。
「イヴァン、アンドリューをここに呼んでもらえるかしら?」
「はい、かしこまりました」
アナスタシアはイヴァンにそう命じて、一人喜びに口元を綻ばせた。
そして間もなく、アンドリューは半ば強制的にアナスタシアの居室へと連行されてきた。
「あの、ぼくに何かご用でしょうか?」
あまりにも唐突に連れてこられた彼はわけがわからず困惑の表情を浮かべている。
まぁ、この状況では仕方があるまい。
「突然来てもらって申し訳なかったわね」
そういったアナスタシアの表情は実ににこやかで艶があり、息をのむほどに美しい。
一児の母とは思えない美貌の持ち主だといつも思う。
「いえ、それは構いませんが…どういったご用件でしょうか?」
おそらく、エドワードのことだろうとあたりをつけながらも尋ねてみる。
すると彼女は穏やかに口を開き言った。
「実はあなたに少し訊きたいことがあって」
「ぼくに答えられることでしたらお答えしますが…」
「そう、それは良かった」
「実はエディのことなんだけど」
―ほら、きた!
アンドリューは内心ほくそ笑んだ。
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