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この深夜特急には訳ありの人間たちがひしめいている。
奴隷商人。子供売りの女。梅毒の男婦。乞食。病人…あらゆる下層の犯罪者…
俺もそうだ…薬の運び屋。
みな金の為…この仕事が上手くいけば俺はマルケシュに住んでいる従姉妹のとこまでいって部屋を借りることが出来る。
薬は控えめにして地元の酒でなんとかやる。女も男も内気だが礼儀正しい。
必ず上手くいく。
もうすぐ国境だ。焦らず…必ず上手くいく。
トイレで軽いやつを吸い、顔を洗い両手て頬を叩く。よし。
必ず上手くいく。
国境の駅に着いた。警備隊が列車に乗り込みパスポートをチェックする。はなから偽の人間たちであることは承知だ。パスポートなんか関係が無い…金だ。国境を越えるには金がいる。犯罪者たちは国境を越える金を用意してある。パスポートを見せ、金を渡す。
ここにはきちっとした相場がある。国境を越えるには確実な列車だ。犯罪者たちはみなこのX-Pressを使う。
俺の番だ。浅黒い肌の薬中警備員にパスポートを見せる。間には10000ギルドゥが挟んである。
きっちり相場だ。奴が俺の薬で潤んだ目を覗きこむ…テレパシンを使い奴の頭に入り込む。奴隷の子供。飲んだくれの父を殺した…
母親の為に…母は喚き散らし、悪魔がとり憑いていると奴をオカマの牧師のところに連れていき…
裏切り…母を埋め軍に入隊。
オカマに拍車がかかる。警備部隊の男に惚れられ、ここにやってきた…今では根っからのオカマで頼りは薬と鞭と…アウトプット。
奴は俺にパスポートを返し次の客に目を向ける。俺はこいつを助けてやれたのに…奴が俺を跳ね返した。
後悔と罪悪感が奴を縛りあげ全てのコミュニケーションを遮断している。
脳が腐敗した悪にレイプされている…薬しかない…腐敗を止めるには。そして死ぬ…
国境を越えた。
上手くいったのだ。
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