街の下

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オカマのホームレスに連れられ、私はパンデ駅に来た。人の多いショッピングモールのような駅だ。人工的に日焼けしたオカマのカップルが寄り添い歩く。駅構内の書店員のレズはピアスと刺青というお決まりの自己主張で愛想を良くする必要がない。モダンな老婦人は高級なチーズを塗りたくる為に購入し、自分を去勢した男は片手にコートを抱え携帯パソコンを操る。誰に対しても礼儀正しく愛想の良い人々。若い男と寝ることをいつでも夢見ているサディスト…この駅はそのように本能をコントロール出来る人々で溢れている。爬虫類の目をした、衣服が擦れ老人臭漂うホームレスはいない。ホームレスのオカマは皆の視線をまるで受けず、見えない存在であることを認識せず、人々の罵倒を一人で喋りながら私を地下鉄ホームの線路内にある穴の入り口まで連れてきた。 さぁ~ここが街の入り口だ。ここからは一人で行ってくれよ。旦那。私は報酬の薬をオカマに渡した。狭い穴に身体を突っ込み街への道を進む。
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