地下の街のモグラたち

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狭い入り口を潜ると中はかなり広くなっている。入り口の光りが僅かに届く。周りはコンクリートが腐りかけた壁。地下に延びるハシゴがある。かなり深くまで伸びているようで先は見えない。私は慎重に確実にハシゴを降りる。光りはもう届かない。濃密な闇がベタベタと身体にまとわりつく。獣の匂いと腐った精液の匂いが目を刺激する。暗闇が耳の中まで入りこむ。圧迫され空気、自分のと息さえ聞こえない。 ハシゴはまだ深くまで続くが途中の広場の様な場所まで来た。広場に足を踏み出すと、何やら柔らかい苔のような物に地面が覆われているようだ。 不意に悪寒が走る。いつも通りの時間だ。確実に訪れる。ムカデ薬が切れてきた。自分が薬をやらない売人は、ほとんどいない。いや一人といない。ただ成功している金持ちの売人。常用者をきっちりと堕落させ、何人もの裕福な太った爬虫類の親玉である売人は綺麗に優雅に薬を嗅いだりする。 私の顧客は裕福な奴は殆どいない。オカマ、レスラー、病気、ホームレス、黒人、芸人、レズのレンジャー…兵隊… 一息でムカデの粉を吸い込む。上物だ。すぐに冷汗がひく。私がこの地下にやって来たのも幻の薬を持つマジシャンと仕事の話しをする為だ。
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