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身体に薬が回り始めると、暗闇の奥からずっと私を見ていた視線に意識が移る。何も言わない。モグラがそこにいる。長い沈黙の後、私の足下にビール瓶が転がってきた。濃密な暗闇の中、モグラには私が見えている。
「ファギーシャのつかいだ。あんたの寝ぐらか。」
蝋燭の火がともり、しゅ~しゅ~という音をたて近づいてくる。
太った油むしの様な顔が浮かびあがった。
「ファギーシャだって。しゅ~しゅ~、お前はファギーシャの手下かぁ。しゅ~しゅ~。何しに来たぁ。薬を売ろうってかぁぁぁ。
しゅ~。」
「マジシャンと話しに来た。あんた達に用はない。ムカデを自分で飼っているだろ…粗悪品を身体に打ち込む為に…身体が腐るのを待つだけか。マジシャンの手下は粗悪品はやらない。あんたは粗悪品の打ち過ぎで、もう皮膚が腐っているんだろ。臭くて堪らん。それ以上近づくな。」
「いひっいっひ。マジシャンに会いにきたってか。しゅ~しゅ~。
ひっひ。マジシャンは奥の奥。深く深く…いひっいひっ。あんた銃を持ってるよな。ここから下は獣のような獣並の頭の奴がうようよしてるぜぇ~。ひっいひっ…俺は教養があるからな~。ひっ。あんた下まで行けるかねぇ~ひっひっ。しゅ~。しゅ~。ひひひぃ~。オカマを掘られてドブにっひっひひドブに捨てられる奴かな~。ひひひぃ~。くっ糞まみれになってよぉ~。いひっ。それより薬を待ってるだろう。俺にもくれや~。しゅ~しゅ~。ひっひひひ。金はねーけどよぅ~。いひっひ。俺が気持~ち良くさせてやるよ。あんたぁ~。ひっひっいひっ。」
モグラは入れ歯を外し私の股間をまさぐる。腐った身体、腐臭を放つ唾液、粗悪品はやめる事が一番難しい。しゅ~。しゅ~。腐った歯の間から漏れると息が濡れている。不潔なオカマ、昂り弛緩する頬の肉、何度も唇が撫でる。注射器の中の血は腐りゼリーのようにこんもりと…ムカデの内臓と有機溶剤とガソリンの混合薬をたっぷりとシュートする。腐臭、悪寒、肉に埋れた爬虫類人格、ケロイドを直視するかい…やがて目は奥に沈み皆同じ顔になり放屁する…
子供の身体をもつ髭面のオカマの穴は深く…深い…一番深く…
世にも美しい肌をもつ中東の少年を脳裏に…口臭で目が覚めた。
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