第1話~その1~:竜海

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  ふいをつかれて、思わずビクっとなってしまった。 そうだ、一瞬忘れてたが、このアホが隣にいたのだった。 「な、なんでもねーよ」 言ったものの、我ながら不自然だったと思う。 案の定、志紀がニタニタと気色悪い笑みを浮かべた。 「ふ~ん?…そっかぁ、ついに竜にも春がきたんだぁ…今、秋だけど(笑)」 「な・ん・で・そうなるっ」 「はは、無駄だよ~。俺にその手の隠し事しようなんて! ただでさえ、竜は嘘つけない性格じゃん……痛っ!」 楽しそうな志紀の顔に、今度こそイラッとして、とりあえず頭を一発殴っておく。 .
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