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手術が終わり、紗彩さんを見舞いに行くと、紗彩さんは笑っていた。
「全身麻酔だったから、気が付いたら終わってたのよ。」
花瓶に花を挿している私に、紗彩さんは笑いながらそう言う。
その右腕は、私に見せないようにしてはいるけれど、肩から下はなくなっていた。
「よかったんですかね、それ。」
私も笑いながら言う。
元気なようで、少し安心した。
たとえ、それがやせ我慢だったり、空元気だったりしたとしても。
「先生は、義手があるって。慣れちゃえば、元の手みたいに使えるようになるって。」
そう言う紗彩さんは、心から喜んでいるように見えた。
病室から見えた空は、暗く曇ってはいたけれど、少しだけ、光が差していた。
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