0人が本棚に入れています
本棚に追加
私は素直に言う。
紗彩さんは、悲しそうに続ける。
「外から見るとね…でも、1週間後にはこの腕はないの。……悪性の、骨肉種だった。」
あまりにも悲しい結果に、私は泣きそうになった。
紗彩さんは、悲しげな声で続ける。
腫瘍の大きさは、小指の先くらい。
そんな大きさで腕を切断することになるなんて、神様は意地悪だと思った。
紗彩さんは、腫瘍の場所を指で示す。
右手の甲の、真ん中あたりだった。
「このまま放っておくと、ガンみたいに転移する可能性があるって。最悪…」
死ぬこともある、と言って、紗彩さんは言葉を切る。
私には理解するのに時間が必要だった。
「だからって、あきらめることないですよ!」
私は、必死に言う。
左手だってある、義手だってある、
「なんだったら、私が紗彩さんの右腕になります!」
そういうと、私の頬を、何かが伝うのが感じられた。
暖かい、何かが。
「私、紗彩さんと仕事していたいです。ワガママかもしれないけど、楽しいんです。」
そこまでいっぺんに言うと、もう我慢できなかった。
紗彩さんは、悲しい結果に涙の一つも見せていないのに、私は声をあげて泣いた。
最初のコメントを投稿しよう!