始まり

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私は素直に言う。 紗彩さんは、悲しそうに続ける。 「外から見るとね…でも、1週間後にはこの腕はないの。……悪性の、骨肉種だった。」 あまりにも悲しい結果に、私は泣きそうになった。 紗彩さんは、悲しげな声で続ける。 腫瘍の大きさは、小指の先くらい。 そんな大きさで腕を切断することになるなんて、神様は意地悪だと思った。 紗彩さんは、腫瘍の場所を指で示す。 右手の甲の、真ん中あたりだった。 「このまま放っておくと、ガンみたいに転移する可能性があるって。最悪…」 死ぬこともある、と言って、紗彩さんは言葉を切る。 私には理解するのに時間が必要だった。 「だからって、あきらめることないですよ!」 私は、必死に言う。 左手だってある、義手だってある、 「なんだったら、私が紗彩さんの右腕になります!」 そういうと、私の頬を、何かが伝うのが感じられた。 暖かい、何かが。 「私、紗彩さんと仕事していたいです。ワガママかもしれないけど、楽しいんです。」 そこまでいっぺんに言うと、もう我慢できなかった。 紗彩さんは、悲しい結果に涙の一つも見せていないのに、私は声をあげて泣いた。
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