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寮を出ると四人で敷地内の案内図を見つめては、あまりの広さに口元が引き攣ってしまう。
どうやらこの学校は中、高、大とエスカレーター式で構成されているらしくでかい建物が三つも並んで建っているのだ。
「でかいな…」
「うへぇ~…間違えちゃいそうだな~」
「菖蒲は必ず私か昶さんと登校しなさい?猛はともかく中学の校舎に行ったら良い笑い者ですからね」
「ちょっ!俺はどうでもいいって言うのかよ!?」
「貴方は昶さんが居れば校舎を間違えないでしょう?犬ですし」
「なっ誰が犬だ!!」
「「猛」」
「昶さ~ん!」
「ったく…お前達もあんまり虐めてやるな」
「猛め…覚えてなさい」
「えへへ~…覚えてろよ~?」
抱き着いてきた猛の頭を撫でながら二人を宥めつつ俺はまた案内図に視線をやるも、そんな事を呟いているとは知らずに中央に位置する校舎へ足を向けると慌てて他の三人もついて来る。
確か特待生として入ったから入学式で何か読まなきゃいけないとか聞いた気がするが何も用意してねぇな…。
まぁ、アドリブで良いか。
そんな事を考えているとクラス分けの掲示されている場所が見えそちらに向かうも、何か嫌な視線を感じ上を見ると冷めた目をした上級生らしい男子生徒がこちらを見ている。
偶然上を見たような素振りを見せながら掲示の方に視線を戻し小さな溜息を吐く。
俺は平凡な学園生活を送るのだろうと思っていた。
まだ、この時は……。
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