849人が本棚に入れています
本棚に追加
<雅Side>
中学の頃からこの女子のような体格と容姿から抱きたいランキング一位を取り続けていた故にまともな友達が僕にはいない。
皆声を掛けても頬を染めて逃げるか無視するかのどちらかしかなかったのが寂しかった。
高校に入れば外部生が結構来るとかで僕は友達が作れないかと密な希望を抱いていたんだ。
教室に来ると中学の頃からの見知った生徒しかいなかったから落ち込んでたんだけど黒板の傍に見慣れない生徒が居て胸が弾んだのを覚えてる。
勇気を振り絞って声を掛けようと決心した時でもあるから。
「あのっ!もしかして君が外部からの新入生?」
「………誰?」
「あっ、ごめん!僕は澁谷 雅。よろしくね?」
「……僕は東雲 昶。よろしく。」
周りの人はオタクと言っているが僕にはそんな風には思えなかった。
今までオタク系の人から何度か告白されたからだろうか?
「じゃあ…」
東雲君がそのまま去ろうとしたのを見て僕は何故か慌ててしまった。
このチャンスを逃したら彼と話す機会がもう無いんじゃないかって…。
「あっ、待って!あっあのっ、良ければ僕と友達になってくだしゃいっ!」
「………いいよ?」
「えっ、本当に!?」
「………うん」
少しの間の後に紡がれた了承の言葉が嬉しく微笑むと、僕を見て微笑んだ東雲くんの切れ長の獣のような瞳が見えて頬が赤くなってしまった。
良く間近で用心深く見ないと解らないがとても調った顔をしているから…。
「………席行くから、後で」
「うっ、うんっ」
僕は胸の高鳴りを押さえながら出来れば彼と近い席になれますようにと願ながらも、赤くなった顔を押さえ席順の掲示された黒板へと視線を移した。
最初のコメントを投稿しよう!