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<昶Side>
予鈴と共に仕掛けたアラームが小気味よいバイブ音を奏でたのを聞いてはゆっくりと目を開け身体を伸ばす。
そのまま、鞄に顔を埋めると素早くカラコンを両目に入れ辺りを見回した。
いつの間にやら教室内には人が集まっていたのだが、横から突き刺さるような視線を感じゆっくりとそちらを向くと猛が泣きながら待てをしていたのだ。
「……………何してるんだ?」
「俺のクラス…敵対チームの奴らばかり居るんすよっ。喧嘩売られたんすけど買っていいっすか!?」
「………駄目。猛…僕目立ちたくない」
猛も大人しくしていればイケメンなので周りの生徒達からの視線を一身に受け俺は不機嫌なのが解るほどに眉間に皺を寄せている。
そんな中、トタトタと走る音が聞こえたのでそちらを向くと先程友達になった雅がこちらへ走って来ていた。
何故か小動物を連想させるその姿にクスリと笑うも、俺にたどり着く寸前で転びそうになるのを見て席を立っていた。
猛が驚いて目を見開くが状況に気づけば後ろで「流石、昶さんっ!」とかほざいているので殴り飛ばしたくなったのは秘密である。
「………大丈夫、雅?」
「ありがとうっ、東雲君……あっ、怪我してない?」
「………怪我、ないよ。」
「良かったぁ…」
怪我が無いのを確認すると胸を撫で下ろし安堵している雅の頭を優しく撫でていれば、背後に居た猛がいきなり間に割り込んできて俺は予想外の出来事に目を見開いてしまった。
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