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あの騒動の後、タイミング良く本鈴がなり全員が席に着く前に教室の前扉が開いたかと思うと、金髪を所々黒く染めたホスト系の男が入ってきた。
まさかとは思うが…いや、きっとそんな事はないはずだ。
「テメェ等さっさと席につきやがれ!出席取んぞ!?」
「きゃぁぁぁ、零先生ーっ!」
「今日もカッコイイ~っ!」
「抱いてくれ~っ!」
あまり興味もなく外を見ながら嬌声と悲鳴を聞き俺は溜息を吐いた。
(ん?ちょっと待てよ…。
そういえば最後の台詞おかしくないか?男同士で抱き合うなんて出来ないだろ。)
「だぁぁうるせぇっ!出席取るって言ってんだろうが!」
俺がそんな事を考えていれば教卓を日誌の背表紙で殴り額に青筋を浮かべているホストの様子を見て全員黙り込む。
顔は良いが内面はヤクザか不良かと考えていると隣から痛いくらいの視線を感じそちらを向くと、調った顔と若干藍色に見える黒髪と何処か冷めた印象のある焦げ茶色の瞳を持つ男子がこちらを穴が開くほど見つめていた。
顔に何か付いているだろうかと確認するも特にこれといった物は付いていないので無視に限る。
「東雲 昶」
「…………」
「東雲 昶っ」
「…………」
「東雲 昶ぁっ!」
「………何?」
「何?っじゃねぇっ!出席とるっつったろうがぁっ!」
「…………」
「無視すんじゃねぇよっ!」
外を眺めていて気付かなかった為に返事をしなかったらいつの間にか横にホストが立っていた。
先程よりも青筋が深くなっている気がするが気のせいではないだろう。
この一連の会話で気付け。
俺がどう考えても無口な奴だということを。
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