850人が本棚に入れています
本棚に追加
雅が傍に来ると永二が微かに頬を引き攣らせたような気がするが気のせいだろうか?
「昶君、永二なんかと話しちゃ駄目だよ」
「雅、知り合い?」
「………幼なじみ」
「そうなのか…」
「成績優秀だけど運動音痴なんだよ?なのに僕より背が高いんだ…」
「毎日牛乳飲んでたからなっ!」
「とにかく、永二だけは話しちゃ駄目っ!腐男子になっちゃうからね」
「…腐男子?」
一応聞いた事がある言葉ではあるが内容までは把握できていない。
何時も聞こうとすると遼と菖蒲に阻止されていたからだ。
毎度毎度良く俺が聞こうとしてるのが解ると感心していたぐらいにこういった話題になると背後に居たりするのだ。
「何っ!?お前腐男子を知らねぇのか!?」
「知らない方が絶対良いよ…」
「ふふふっ、安心しろ!この腐男子界でキングと呼ばれる俺が教えてしんぜよう!」
「黙っててよ、永二。」
「すんませんでしたぁっ!」
「オラッ!そこうるせぇぞっ!」
「「すいませんっ!」」
「……仲が良いんだな」
幼なじみと言うだけあって息が合った返事に喉を鳴らして笑っていたが、ふと視線を感じそちらを見ると一人の男子生徒が腕を組み品定めをするかのように見渡しているのが見えた。
その立ち振る舞いに見覚えがあり思考を巡らせるも何も思い出せなかったので保留にしておくことにした。
随分と広い校舎内だなと思いつつ一際大きい扉の見える渡り廊下まで来ると、一旦ホストが俺達を止め振り向くと耳を塞げという合図をしてきた。
最初のコメントを投稿しよう!