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ほぼ夜更けに近い時間、何台ものバイクがけたたましい爆音を奏で国道を走り抜けている。
後ろの単車よりも遥か遠い場所を走っているのは仮面を被った白銀の髪を風に靡かせ走る一人の男とその男を囲むように走る三人の男である。
「総長!久し振りっすね…国道で単車転がすなんて!」
「………走り納め、だからな」
「えっ、どういう事っすか?」
「暫く集会は出来ない…当分学業で忙しくなる」
「あ~、そう言えば~総長あの聖蘭に通うんですよね~?」
「何だとぉっ!?駄目っすよ!俺等の総長があの腐れホモ共にあんな事やこんな事っ!!」
「黙りなさい猛…私もそこに通いますから総長の事はお守りしますよ」
「あは~、実を言うと~俺も通うんだよね~?」
「なぁっ!?」
「藤、菖蒲……虐めてやるな…。たまには遊びに来い、猛」
「あそこの生徒は理事長に気に入られる事で入学出来るシステムみたいですから試験やってますし受けたらどうです?」
「ナイスアイデア!早速明日行ってくるぜ!」
嬉しそうに蛇行運転をする猛を呆れたように見ながらも、白銀の髪を風に靡かせ明日の入学式の事を考える。
仮面から覗くその瞳は夜のネオンの光に照らされ妖しく光る。
それに見とれる三人の男が居たことを本人は全くと言って良いほど気付いていない。
「昶さ~ん。今日は家まで送りますよ~」
「菖蒲…昶さんは私が送ります。入寮の為の支度がまだ出来ていないと騒いで居たでしょう?」
「いや、昶さんはこの俺が送る!」
「…………はぁ」
昶を余所に言い争いをする三人を見つつ、これからの学園生活は退屈しないで済みそうだと思ったのは秘密である。
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