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今日は短縮授業だったので龍一の足取りは軽かった。
その軽い足取りのまま、部室に向かった。
三階への階段を登り終え、校舎の渡り廊下を移動する。
職員室から鍵を取り出し、また一階層分、階段を登り、鍵を開けた。
扉を開けると、いつものように機械と埃のにおい。
いつもと違うことは無く、龍一は、自分用のパソコンを起動する。
そこで初めて異変に気づいた。
スリープ状態にしていたパソコンの電源が切られていたのである。
普段ならいちいち気にしていたが、今日は気分がよかったので、許す気になった。
作業を続けること15分、人が入ってきた。
「コン部ってここ?」
「他人の部を出汁の元みたいにいうなよ・・・。んで?何のようだ?あんまり暇じゃないから早くして欲しいんだけど。」
「あぁ、ごめん。放送部で使うテープ、画質良くならない?」
「100円。」
「金取るの!?」
「非公式だから部費が出ない。」
「しょうがないな・・・。」
女は龍一に金とテープを渡す。
「毎度あり。名前は?」
「島崎若菜だけど・・・」
「OK、リストに載せとこ。」
「なんの?」
「金鶴リスト。はい終わった。」
「金鶴って・・・って早っ!!」
「うちは早さが売りだから。」
「そうなんだ・・・放送部に欲しい位。」
「いいよ。」
「いいの?」
「ここは非公式だから今フリーだし。」
「へ~大変なんだね。そういえば名前は?」
「新崎龍一。」
「んじゃ、これからよろしくね新崎。」
「こちらこそ。」
かくして、放送部員になったのでした。
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