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「うるさいなぁ。お前は少し暗くなったようだけど」
悪態をつくと、史帆は持っていた袋からパンを取り出す。
「ほら」
焼きそばパンをひょいと投げ、そのまま櫂の手の内に納まった。
「やるよ。どうせ、めんどくさいからなんも持ってきてないんだろ?」
「さすが」
事も無げにセロファンの包装紙を破り、中の焼きそばパンを取り出す。
「んじゃ、再会を祝って」
そう言って、史帆は己のジャムパンをほおばる。
「相変わらず、男前だこと」
「るさい。文句あるなら食うな」
「いや、ありがたく頂くことにしよう」
史帆に続き、櫂もパンを口に入れる。
「そういやでかくなったよな、おまえ。何センチ?」
ひとしきり食事を終え、落ち着いたところでさっきから気になっていた質問をぶつける。
「一八五」
「うーわー、むかつくー。どうりで重い訳だ」
「当たり前だ。これで重くもなって無かったら逆に怖いぞ」
ごもっともで。
「そういうお前は縮んだか?」
「縮むかっ!」
仕返し、とばかりに史帆の一番気にしているところをついてくるのはやはりむかつく。
はん、と鼻で笑った櫂に史帆はまたもや悪態をつく。
こうして、感動の再開は果たされ、穏やかな午後の昼下がりに予鈴は鳴り響いた。
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