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そうしてしばらく話しているうちに、ダンについてわかってきた。今は六歳で、魔物と話せるのは、初めて森に入った三歳から、確実に話せていたらしい。
しかし、魔法が使えなくて、赤ん坊の時から孤児院にいるんだと言った。
「もちろん、院長さんから……聞いた話だけどね」
さっきから疲れを見せていたけど、とうとう目が虚ろになり、倒れてしまった。
「ダン、どうしたのだ?大丈夫か?」
様子を確かめると、眠ってしまったらしい。このままにしておく訳にもいかず、人間に化けた。
「こんなものか?」
下を見下ろし、姿を確認した。人間になるのは初めてなのだ。白いひらひらした布が体をおおっていた。足下は黒く膝まである、かかとが上がっている物が履かれている。
腰のあたりまでゆったりと茶色の髪がのびていて、邪魔だった。人間、と念じて変化したから、細かく設定はしていない。次からは短くしようと考えて、後ろへ払った。
ダンを背負って、森の入り口に行き、木にもたれかけさせ、隠れて見守った。
通りかかった女の人がダンを見つけ、慌ててダンを抱っこして、どこかに連れていった。
「ダン、楽しかったぞ。もし、機会があれば、また……」
微笑んで、住みかに帰った。
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