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「うわっ、ム、ムーンウルフだ!」
秋の過ごしやすい時期。二人の小さな人間の男の子が、森の中に入り、私と出くわした。こんな奥の方まで入ってくるなど、まだ弱い人の子では危険だ。
入口まで送ってやるために立ち上がると、坊主頭の男の子の方は、きびすを返してもときた道を逃げてしまった。一方小柄で、黒髪の男の子は私をじっと見つめて逃げようとしない。
「一人なの?」
こいつ、私を怖がらないのか……? それより、なぜこいつの言葉が理解出来たんだ?
「お前、何者だ?」
「僕、ダンだよ。ダン・シルガ」
にっこり笑って、男の子、ダンは答えた。
「お前、私の言葉がわかるのか?」
「わかるよ! マモノの言葉。なぜか僕は話せるんだ」
なぜだ? ありえない……。
「君みたいに話してくれるマモノは少ないんだ。ほとんど相手してくれないから。攻撃してくるマモノもいるし」
「襲われたらどうするのだ?」
「やめてって言えば、やめてくれるんだ。でも、ほとんどのマモノは優しいけどね」
「何度も来ているのか?」
「まあね。友達を連れてきたり、こんなに長くいるのは初めてだけど」
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