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小さい頃は、強気で我が儘だったのにひどく泣き虫で弱かった。
その日も私は母に怒られていて、すねて家を飛び出ていった。
ただただ何も考えずに走っていた。
そして迷子になっていた。
気づいたころには何処かわからず、一人泣いていた。
孤独感と不安感が私を襲い、私は近くにあったベンチにしゃがみこんでいた。
何もせず泣いている私に寄ってきたのは一人の少年だった。
「お前、どうしたんだ?」
いきなり話しかけられた私は迷子になっていることも伝えられず少年のTシャツの裾を掴んでいることしかできなかった。
少年は困惑した表情で言った。
「とにかく、俺ん家くるか?」
私はゆっくり頷いた。
この時、私は7歳。少年も7歳だった。
これが彼との、晴希との出会いだった。
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