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「そのクッキー頂戴!!」
甘党な私は返事もまたずクッキーを一枚とった。
「あ、お前また勝手に…!!いい加減太るぞ。」
クッキーを勝手に奪われたからか女子高生に対して禁句をはいた。
今は昼休みのお弁当会。
「い、いいじゃん一枚くらい~。それにもう太っちゃってるし!」
「梨華」
言葉の直後、私の隣に座っている女の子が私の名前をよんだ。
「次、太ってるなんて言ったらぶつから。」
彼女の名は堀内優羽(ホリウチユウ)。
私の親友だ。
「えぇ!?別に優羽は太ってないじゃん。てかむしろやせてるし。」
「そういう問題じゃないの。ただ世界の太ってる方に失礼だということだけよ。」
淡々とセリフをはく優羽に負けるわたし。
「まあまあ別にいいんじゃない?ここに太ってる人いないし。てか晴希の持ってきたクッキー食べようよ。」
フォローしてくれたのは私のもうひとりの女友達、橘柚希(タチバナユズキ)。かわいくてちょっとゆるい制服がthe・女子高生って感じの女の子。
「柚希サンキュ♪晴希の貰おっか!」
「そうね。丁度甘いものが食べたくなってきたから。」
「お前らホント勝手だな~…。あげるために持ってきたけどあげたくなくなるよ。」
例のクッキーを所持しているのは私の幼なじみの男、北條晴希(ホウジョウハルキ)だ。彼とは7歳の頃出会い、小学校も中学校も一緒のところで過ごした。
「はい、どーぞ。自由に取ってて。」
「ありがとうな。晴希。」
丁寧にお礼をしたのはお弁当グループの最後の一人、鈴原幸久(スズハラユキヒサ)。いつも落ち着いた感じの男子。実は優羽と付き合っている。付き合い始めた頃は意外な組み合わせだと思っていたが、今思えば結構仲良かったな、と思う。
「はぁぁぁ~…。彼氏ほしいなぁ~。」
クッキーを一枚一枚ゆっくりと口に運んびながら柚希が溜め息混じりので言った。
「もう高校生だよ!?なのに恋人いないって哀しすぎるよ!…優羽達はいいけどさぁ。」
「でも私も晴希もいないよ?」
「二人はなんというか…恋人みたいなもんじゃん。」
その言葉を聞いて驚いた。そんなこと考えたことなかった。私と晴希が付き合う?有り得ない、と思う反面、私の体の中は熱くなっていた。
「恋人!?私達は幼なじみってだけだよ!?ねぇ、晴希!!」
「お、おお!!」
「そうなの?でも友達からってのはよくあるよ?」
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