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「さて、日が暮れない内に帰りますか」
亜希斗のバイト先から暮らしているアパートまでは歩いて12分ほどの距離だ。沈みそうな夕日を眺めながら、慣れつつある帰り道を歩く。と、そこで彼は気になる貼紙を見つけた。
「『怪物出現!見つけたら・・・』。あぁ、あのニュースか」
亜希斗はリアルタッチで描かれた怪物の絵を見ながら昨日のニュースを思い浮かべる。
『―市に怪物が出現したそうです。―市の皆さんは注意してください。で、特徴ですが―』
①大きな翼
②長い尻尾
③頭に角
(RPGかよ・・・)
ニュースキャスターの呆れたような口調を思い出しながら、再び帰路に着くのだった。
「ここだよね?亜希斗さんのお部屋って」
「はい。情報通りなら」
亜希斗がバイト先を出た頃、彼の部屋の前には二人の人物がいた。一人はこのコンクリートで囲まれた殺風景な空間には眩しいほどの美しさをもった黒と白のドレスを纏った中学生くらいの金髪の少女。
もう一人はロングスカートのメイド服を来た少女のお付きのようだ。
「まだかなぁ」
少女は暮れる夕日を眺めながら、嬉しそうに微笑んだ。海のような青の瞳に、燃える日を映して―
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