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汗で張り付くシャツの欝陶しさに苛立ちが増し、壁を殴りたくなる気持ちを抑え、階段を昇っていく。コンクリート出来ているため、熱気が篭り正直辛い。
(ちょっと早いけどエアコンの起動テストも兼ねて付けよう)
階段を昇り、長い廊下を歩き自らの部屋の前に立つ。ポケットから扉の鍵を出して開けようとする、が。
「あれ?閉まってる・・・。てことは、開いてた・・・」
朝まで記憶を巻き戻す。確かに閉めた。ノブを掴み、三回引っ張った。記憶を辿っても亜希斗は自分に非がないに気がついた。
(まさか、空き巣か?いや、空き巣は男の部屋に侵入する可能性は―ない訳はないし。とりあえず―)
鞄から一番殺傷能力が高そうな「新版-国語辞典」を取り出す。何故か、箱の方には角に鉄のフレームで装飾されているが。
辞書を片手に再び鍵穴に部屋鍵を差し込み、中の様子を伺う。と、そこには
「おかえり~、亜希斗さん。ご飯にする?お風呂にする?それとも、吸・血?」
金髪に黒と白のドレスを着た美少女がいた。年齢は自分より下、しかし、そのまだ幼い印象の顔立ちは可愛いさの中に気品さを感じた。
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