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(な、なんだ・・・?今のは)
亜希斗は驚いた。今、白煙を上げる彼の携帯電話は高校入学と同時に購入した新品同然のものだ。
だから故障ではない、亜希斗はそう確信し、地に転がる携帯電話―ではなく、国語辞典を拾いあげ、もう片方の手で少女の頭を掴んだ。
「い、痛い!?亜希斗さん、ギブ!ギバップ!」
少女は涙を流し、無駄に良い発音で解放を望む。しかし、万力の如く締め上げる亜希斗の手を引き離そうと試みるも、所詮は女の子だ。そのささやかな抵抗すら無力であった。
「んじゃ、ちょっと質問に答えてもらおうか?」
「きょ、拒否権を行使し―ぎにゃあああ!!」
「拒否権発動は認めんぞ」
何かと便利な拒否権を行使ししようとした少女の頭を亜希斗は何の躊躇いもなく締め上げる力を強めた。
指が食い込んでいる箇所(こめかみ辺り)は青くなっており痛々しく見える。
「あ、亜希斗さぁん!!いた―ぎにゃあああああああああああ!!!!!?」
だが―亜希斗の締め上げる力は弱まらない。それどころか、強さを増す。
「なんか言い方がムカつく」
「理不尽ですね!?」
少女はまだ余裕なのか、まだ突っ込む体力はあるようだ。
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