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「すみませーん!献血に御協力くださーい!」
5月下旬、梅雨の季節に入ろうとしているのか、タイルの道路でのバイトは蒸し暑くて辛い。
逃げ場のない全体攻撃。学校指定のカッターシャツの袖を捲り、汗を拭いながら亜希斗は必死に暑さに抗い、呼び込みを続ける。
(くそー、暑いな・・・。バイト代とか増えないかな、『暑いからジュース代』な感じで)
邪まな考えをしつつ、亜希斗は車のエンジン音に、通り過ぎるギャルたちの話し声に負けないよう、呼び込みを続ける。
「あら!カッコイイ!ねぇ、協力してあげない?」
「そうね。ちょっと、貴方~」
「はい。では、こちらへ」
ちょっと声を張ったからか、おばちゃん二人が来てくれた。それから。また一人、また一人と順調に協力してくれる人が増えてくる。
献血の車に入っていく人たちを見ながら心中呟く。
(A、AB、B、O・・・・・・全員(良好)っと)
亜希斗の眼には相手の血液型を見破る能力があり、ヒマさえ有れば相手をちらりと見て血液型の情報を得ている。
さらに血の状態も判別が可能で、今日も担任の先生の血に異常があったため、病院に行くことを薦めた。
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