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「・・・何個目ですか」
「んー、3個目かなぁ?あ―給料の精算終わったよぉ」
「ありがとうございます」
給料の入った封筒を受け取る。心なしかちょっと厚い気がし、神坂に尋ねてみた。
「なんか太くないですか?」
「え!?太った!?」
神坂は目を丸くし、白衣の下のシャツを捲り上げた。現れる白い肌、見事に整ったウエストは太っているはずなどなかった。
「ち・が・う!封筒の方!」
亜希斗はそれに対し、キレ気味に封筒を叩き、アピールした。
「あ、そっち。ジュース代入れておいたからねぇ」
神坂はまた呑気な口調に戻り、ほっとしたような表情だった。
(なんだ、この人・・・。エスパーか?)
バイト中、心の中で呟いたことが実現してドキリとした亜希斗だった。
「神坂さん、お腹仕舞ってください。冷えますよ」
「あー。失礼。いやあ、お恥ずかしい」
「恥ずかしいのはこっちですよ」
亜希斗と神坂の笑い声が車内に響き渡った。
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