246人が本棚に入れています
本棚に追加
/210ページ
そんな意味でミツオの判断はセオリーどおりといったところか。
ボクシングでは頭の位置が低いほど、態勢的には有利である。
低く縮むミツオに対し、ヒトシはがっちりわきをしめてひじを立てる。
ガードをかためて足をつかう。
単純なサンドバッグにならないよう、身体を左右にこまかくふる。
「シュッ、シュッ、シュッ」
が。
ミツオにしたら、こむずかしい作戦なんかは、なにも用意していないのだろう。
とくになにも考えず、左右のジャブをくり返す。
セオリーを覚えたところで、キャリアがなければそれ以上の策はない。
ケンカのようなしろうとまるだしの攻めのボクシングだ。
最初のコメントを投稿しよう!