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「シュッ、シュッ」
しかしミツオはそんなことは考えない。
短気な性格がよくでている。
ミツオが右手を先ほどよりもさらに引いた。
身体がおおきくそとにひらいた。
おおぶりもいいところ。
その一瞬、ミツオのアゴのラインまでのガードがわずかにあいた。
ヒトシはそれを見逃さない。
黒いヘッドギアのしたの瞳がぎらりと光ったように見えた。
ヒトシはミツオのあいたアゴにむかい、ノーモーションでジャブをはなつ。
一撃必殺の強烈なパンチではないが直撃だ。
爆発したような観客の叫びとともに、電子音がちいさく鳴って耳に長く尾を引いた。
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