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「言わなくてもわかってるぜ。俺だって可愛い後輩がいなくなったら困るんだ」
遠野が言おうとしていることを先制する。
それぐらい格好をつけたって罰は当たらないだろう。
「そうじゃなくて。社会の窓が全開」
「ば――ッ! これはアレだよ。お洒落だよ。今年のトレンドなんだよ……」
精一杯の言い訳をしながらさりげなくチャックを閉める。
遠野を見る。遠野はこれで感情を隠すのが下手くそだ。頬を窓の向こうに広がる夕焼けのように染めて、気まずそうに目線を落としながら頬を掻く。そして、
「鮫島を、お願い、します……」
殆ど片言で頼んでくるのだった。
「当然だろ?」
得意げにグッドサインを掲げた俺に送られた温度を感じないジト目は、ぐさりと心に刺さった。
これからはもう少し自重しよう。そう思った。
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