一章・伝染ナルコレプシー『柳沢鳴子の物語』

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「だからこそ一泡吹かせるんでしょう? 私は萌えとか大嫌いなの。プロットを盗み見た限りラノ研は件の怪談の軸に美少女を据えるつもりみたいだけれど――その上で世界の陰謀がどうとか、そういった展開に持ってゆくらしいけど、私にはそんな壮大な話だとは思えない。私はね、柳田。この一連の怪奇現象には曰く憑きが関わっていると睨んでいるの」  遠野はこれで勘が――嗅覚が鋭い。  遠野が言うようにこの町の都市伝説や奇妙な体験談の多くに曰く憑きが関わっている。  そして連中の大半が人智を超えた存在だ。  例えば俺の家に居座っている曰く憑きの少女も超常的で超人的な能力を宿している。  更に言うのならその一点に関してだけは、遠野の憶測は外れていた。  何故ならば――我が家の穀潰しは明眸皓歯の美少女だからだ。
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