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「ひぃー!堪忍をー!」
¨亀が喋る¨
大変に不可思議な現象ですが、これまでの日本昔話では、様々な生物が当たり前のように日本語を喋ってきました。
なので今回も目を伏せていきましょう。
亀の声が耳に聞こえてきた青年は、出番を感じすかさずヒーローの如く駆け付けました。
「あっちでござるか!」
遠くの方で、子供達に袋にされている緑の生物を発見した青年。
帯刀しながら走る距離にしては、少し長すぎる上に、砂浜だから走りにくさ倍増。
青年が亀のもとに到着する頃には、すっかりばてばてになっていました。
「ぜぇぜぇ……お、お主達…か、亀をいじめてはならんでござるよ…」
何とか台本通りの台詞を言えた青年。
子供達が去っていくと、すぐにその場に横たわりました。
「こ、こんなに走ったのは幕末…いや、明治維新振りでござるな…」
空を仰ぎながら、そんなことを言う青年を見て、助けられた亀は溜め息を漏らしました。
「はぁ~っ。だんなぁ、もう少しゆっくり来てくだせえよ。せっかく……」
そこまで言いかけると、亀は言葉をやめました。
「ん?何でござるか?」
「な、何でもねぇっす!それより、とっとと竜宮城行きましょうや!」
なぜか展開を急ぐ亀。
このままだと、最短ページで物語が終わっちゃいそうですね。
何とかせねば……
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