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え?これ遅刻決定じゃん。何で目覚まし鳴らなかったの?
俺いつも7時にセットしてたよね?
え?何で?
「何故目覚まし鳴らなかっ………」
俺は見てしまった。
それは俺の足下に転がっていた。
無惨な姿(粉々)になった俺の目覚まし時計を。
「…………」
「早く着替えて降りてきなさいよ」
姉貴はその一言だけを残し俺の部屋から出ていった。
「…………泣けるぜ」
◇◇◇明日奈side
私は今体育館にいる。
今日は私立快晴高校の入学式だ。
人数も大体揃い、開式まで残り10分を切った。
「まったく、あいつは何してんのよ………」
隣の空席を見ながら私は呟く。
ケータイに電話しても出ないし、メールも返ってこない。
「まぁ、あいつの事だからまた寝坊でもしてるんでしょうけど……」
『あーテステス。……よし。これより第三十二回入学式を始めます』
私があいつの事を考えている内に10分が経ち、入学式が始まってしまった。
結局あいつは、幼馴染みの鳴神蓮は間に合わなかった。
「あいつに会ったら死刑ね」
そして私は蓮を死刑に処する事を一人自分の拳に誓った。
◇◇◇蓮side
「いってきます」
俺は玄関まで来て笑顔で見送りをしてくれる母さんに挨拶をする。
「はい。いってらっしゃい」
挨拶を済ませた俺は玄関の扉を開け外に出る。
いい天気だな。
「蓮くん」
母さんが俺を呼び止める。
振り向くと心配そうな顔をした母さんがいた。
「喧嘩……しちゃダメよ?」
「うん。わかってる。」
笑顔で返事を返す。
大丈夫だよ、母さん。
もうあの頃とは違うんだ。
◇◇◇
現在の時刻は9時30分。
俺は体育館の前にいる。
「…………」
入りたくねぇ。
当たり前だが今体育館の中では入学式が行われている。今入ろうものなら、体育館中から注目を浴びる事になる。
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