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全身の血が、ライの牙に集まっていく。
熱い。
鋭い痛みが容赦なく襲う。
あたしは無意識のうちに、ライの黒いシャツを固く握っていた。
そんなあたしをあやすように、ライはあたしの脇腹を優しく撫でていた。
やがて、痛みは甘い感覚へと変わっていく。
噛まれた部分がじんじんと痺れてる。
その不思議な感覚を、あたしは気持ちいいと感じてしまう。
どれくらい時間が経っただろう。
熱い牙があたしの首から離れて、大きく息を吐き出す音が聞こえた。
ライの呼吸は荒くなっている。
月明かりに照らされたライの顔には、うっすらと汗がにじんでいた。
「この血を吸って、他の人間の血が吸えるか。」
ライが不敵な笑みを浮かべると、汗が一筋、頬を伝った。
と、そのとき。
足に冷たい感触が。
ちょ…
ちょっとおおおおおおお!
その冷たい感触は、ライの手だった。あたしの内腿を軽く撫でる。
あんた、どこ触ってんのよ!!
「そういえば、内腿からは、まだ血を吸ったことがなかったな。」
な…
ライの尖った長い爪が、内腿をなぞる。
「ここ、首より柔らかそうだ。」
その言い方が、なんだかすごく妖艶で、顔が一気に熱くなった。
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