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痛っ!
ライの牙が突き刺さる。
しかし、不思議なことに痛みは一瞬で、すぐに甘い感覚に襲われた。
左足全体が、じんじんと痺れてくる。
気持ちいい…。
「もうちょっと、足広げろ。」
広げろって…
ライの変態。ばかああ。
だけど抵抗できなかった。
あたしはライの言われるがまま、されるがままだった。
血を吸う音、その水っぽい音が部屋に響く。
なんだかとてもいやらしい。
足の力が抜けて、もう、立っていられない。
あたしは、ずるずると床に腰を下ろした。ライと目線が同じ高さになる。
ライの瞳の色は、いつもの紅い色に戻っていた。
「なんだ。腰が抜けたか?」
ライがクスクスと笑った。
「なんか、足が痺れてるよお…」
「それが気持ちいいんだろ?」
ライの意地悪。
「今日はこのくらいにしといてやる。あまり吸いすぎると、お前が干からびてしまうからな。」
ケラケラと、そんな恐ろしい冗談をかますライ。
そして、しゃがみこむあたしの隣に立って、窓から満月を見上げた。
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