魔界へ行こう

10/28
前へ
/228ページ
次へ
痛っ! ライの牙が突き刺さる。 しかし、不思議なことに痛みは一瞬で、すぐに甘い感覚に襲われた。 左足全体が、じんじんと痺れてくる。 気持ちいい…。 「もうちょっと、足広げろ。」 広げろって… ライの変態。ばかああ。 だけど抵抗できなかった。 あたしはライの言われるがまま、されるがままだった。 血を吸う音、その水っぽい音が部屋に響く。 なんだかとてもいやらしい。 足の力が抜けて、もう、立っていられない。 あたしは、ずるずると床に腰を下ろした。ライと目線が同じ高さになる。 ライの瞳の色は、いつもの紅い色に戻っていた。 「なんだ。腰が抜けたか?」 ライがクスクスと笑った。 「なんか、足が痺れてるよお…」 「それが気持ちいいんだろ?」 ライの意地悪。 「今日はこのくらいにしといてやる。あまり吸いすぎると、お前が干からびてしまうからな。」 ケラケラと、そんな恐ろしい冗談をかますライ。 そして、しゃがみこむあたしの隣に立って、窓から満月を見上げた。
/228ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1190人が本棚に入れています
本棚に追加