魔界へ行こう

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月明かりに照らされたライの顔は、いつにも増して青白かった。 「満月の夜は、最も魔力が強くなるんだ。まあ、お前は人間だから感じないと思うが。…時々、自分で自分が制御できなくなりそうなときがある。」 そう言うライの横顔は、どこか悲しげで。 だけど、とても綺麗だった。 「菜乃香。」 ふいに名前を呼ばれた。 「へ?」 「今からお前を魔界へ連れていく。」 な… なんですと!? あたしは耳を疑った。 「いきなり何!?」 「ブラスト家では、王位継承の儀を行う前に、誓いの儀というものがある。今日はその誓いの儀が行われるちょうど100日前。」 誓いの儀? 「菜乃香、お前を父上に会わせたい。誓いの儀の前にな。」 はあ!? 父上って…まさか。 ライのお父さんで、魔界の王様!? 「えええ!?会わせるって…第一、人間のあたしが魔界に行けるわけないでしょ!」 「俺の力を使えば行ける。」 うそ… 「で、でも、ライのお父さん、あたしが人間だってこと知らないでしょ?」 「ああ。だから一度会わせたいんだ。」 「そんなことしていいの!?」 だって、ヴァンパイアは同じ種族と結婚しなくちゃいけないんでしょ?
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