1190人が本棚に入れています
本棚に追加
月明かりに照らされたライの顔は、いつにも増して青白かった。
「満月の夜は、最も魔力が強くなるんだ。まあ、お前は人間だから感じないと思うが。…時々、自分で自分が制御できなくなりそうなときがある。」
そう言うライの横顔は、どこか悲しげで。
だけど、とても綺麗だった。
「菜乃香。」
ふいに名前を呼ばれた。
「へ?」
「今からお前を魔界へ連れていく。」
な…
なんですと!?
あたしは耳を疑った。
「いきなり何!?」
「ブラスト家では、王位継承の儀を行う前に、誓いの儀というものがある。今日はその誓いの儀が行われるちょうど100日前。」
誓いの儀?
「菜乃香、お前を父上に会わせたい。誓いの儀の前にな。」
はあ!?
父上って…まさか。
ライのお父さんで、魔界の王様!?
「えええ!?会わせるって…第一、人間のあたしが魔界に行けるわけないでしょ!」
「俺の力を使えば行ける。」
うそ…
「で、でも、ライのお父さん、あたしが人間だってこと知らないでしょ?」
「ああ。だから一度会わせたいんだ。」
「そんなことしていいの!?」
だって、ヴァンパイアは同じ種族と結婚しなくちゃいけないんでしょ?
最初のコメントを投稿しよう!