1190人が本棚に入れています
本棚に追加
以前、ライがブラスト家の掟について語っていたことを思い出した。
人間と結婚するなんて言ったら国外追放か、運が悪ければ死刑かもしれないって、あんた言ってたじゃない!
「あたしを連れてったら、ライのお父さん、ぜーったい怒るよね!?」
「だろうな。」
ライは楽しそうに笑った。
って、あんたは何を呑気にしてんの!
あたし、殺されたくないんですけど!
「やだ!行きたくない!」
「大丈夫だ。」
そう言うライの顔は何故か自信満々で。
「俺が選んだ女は、ものすごく強情で、その上すぐ怒ったり叫んだりする騒がしい奴だが…」
ライは少し間を置いて続けた。
「血の味は信じられないくらい極上で、そしてこんなにも可愛い奴だということを、全員に教えてやりたいんだ。」
って、いつものように意地悪く微笑んだ。
ライ…
ライがあたしのこと「かわいい」って言ってくれた。
ちょっとばかにしたみたいな言い方だったけど、あたしは嬉しかった。
そして何より、堂々とあたしのことを紹介しようとしてくれることが嬉しかった。
「お父さんが怒ったら、守ってくれる?」
「当たり前だろ。」
深紅の瞳があたしを見つめた。
最初のコメントを投稿しよう!