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「そうと決まれば早速行くか。菜乃香、早くそのズボンを履け。」
ん…?
ぎゃああ!
そ、そうでした!
さっきライにズボンを脱がされたため、あたしはパジャマの上着に、パンツ一丁という格好のままだった。
恥ずかしい!
あたしは大急ぎでズボンを履き直した。
「よし、こっちに来い。」
ライはマントを大きく広げた。
「え?」
「早くしろ。俺の胸の中に来い。」
ちょっと…
その発言、ドキドキしちゃうじゃん。
あたしはためらいながらも、ライの広げたマントの中に入った。
わ。
ライ、なんかいい匂いする。
「しっかり抱きついていろ。」
そう言って、ライはあたしの体ごとマントで包み込んだ。
次の瞬間、体が宙に浮いた気がした。
視界は真っ暗。
何も見えない。
暗闇の中をものすごいスピードで移動しているみたいだった。
落下しているのか、上昇しているのか、それすらわからない。
頭がぐるぐるする。
キーンという耳鳴りもする。
でも、怖くなかった。
ライの匂いと体温がそう感じさせていたんだと思う。
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