魔界へ行こう

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………… 「菜乃香、起きろ。」 ライの声で目が覚めた。 ほっぺたに風が当たってる。 「ふえっ?」 目の前に広がる光景。 あたしは目を疑った。 「魔界に到着だ。」 空は、薄い紫色なの。 土星のようにリングの付いた天体や、銀色に輝く星々があたしを迎えた。 すごおおい!! あたしはまた、ライにお姫様だっこをされていて。 ライは黒い翼を広げて空を飛んでいた。 眼下にはたくさんの家が建ち並んでいる。 遥か向こうには森が広がっていた。 ライはゆっくりと旋回し、徐々に地上に近づくと、やがて静かに小川のほとりに降り立った。 あたしはふわふわの芝の上に足を下ろした。 「本当に魔界に来ちゃったー!」 すごい! 小川がきらきらと光ってる。 よく見ると、その川の水の中には、色とりどりの丸い玉が浮かんでいた。 「ライ!これ何?」 「ウォーターキャンディだ。食べてみろ、甘いぞ。」 キャンディ!? じゃあ、遠慮なく、いただいちゃおうかな。 あたしはキャンディを1つ、流れる水の中から掬い上げた。 ピンク色。 透き通ってる。
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