魔界へ行こう

17/28
前へ
/228ページ
次へ
「そのブレスレットは人間の匂いを消すと同時に、魔力でお前を守る。」 ライがくれた、ブラックスカルの付いたブレスレット。あたしはいつも身に付けてる。 「だから外したりするなよ。」 って、ライがあたしの頭を優しく撫でた。 「うん、わかった。」 ブラックスカル。 これはライの代わりなのね。 「よし、街に行くぞ。」 と、ライは体を反転させて歩き出した。 あ、待ってよー! あたしはライの後を追いかける。 まあ、今は魔界のお祭り楽しんじゃおーっと! ………… 少し歩くと、レンガ造りの家がたくさん見えてきた。 さっき小川で聞こえてきたアコーディオンの音がさらに大きくなってくる。 家と家の間の細い道を抜けると、大きな広場についた。 「わあ。」 そこはたくさんの人々で賑わっていた。 広場の中央には、大きな噴水があった。 その噴水の前で、ピエロみたいな格好をした人がアコーディオンを弾いている。 ピエロの回りには見物客が集まっていて、みんな音楽に合わせて手拍子を叩いていた。 他には、バザールのように小さなお店がたくさん出ていて、人々が楽しそうに会話をしている。 広場の周りにある複数の街灯には、赤い旗が付けられていて。よく見ると、その旗にはブラックスカルのマークが描かれていた。 「ライ!あの旗、ブラックスカルが付いてるよ!」 「あたりまえだろ。誓いの儀100日前の祭りなのだから。」 ライの家って、本当にすごいんだね。
/228ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1190人が本棚に入れています
本棚に追加