1190人が本棚に入れています
本棚に追加
「誓いの儀ってさ、具体的には何をするの?」
「そう言えば、まだ説明していなかったな。」
ライは思い付いたように話し出した。
「誓いの儀は、王位継承の儀の前に行われる儀式。王位を継承する者とその伴侶となる者が、共に誓いを交わす。」
誓い…
「継承者は王となること、そして伴侶を妃にすることを誓い、同時に、伴侶は妃となること、継承者と共に魔界を統べることを誓う。」
ちょ…
魔界を統べるって…
あまりの事の大きさに動揺するあたし。
「だが、今回は異例だ。」
ライの声が低くなる。
「言っただろう。俺には同じブラスト家の血を継ぐ双子の弟がいると。」
そうだった。
ライは双子。
今年はまれに見る王位継承者争いが起こるって前に言ってたっけ。
「どちらが次期王にふさわしいか、誓いの儀で決める。」
「どうに決めるの?」
「ブラスト家に伝わるブラック水晶を使うことになる。」
なにそれ。
次から次へとややこしいなあ。
「まあ、あの弟などには負けはしないがな。」
ライは自信満々に微笑んだ。
「ライの弟さんって、どんな人?ライに似てる?」
あたしが尋ねた瞬間、前方から叫び声が聞こえた。
「キャー!ライ様よ!」
「本当だ!ライ様、いらしていたんですか!」
ライは大勢に囲まれてしまった。
最初のコメントを投稿しよう!