魔界へ行こう

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猫はそのままブレスレットをするりと抜き取ると、それをくわえて走り出してしまった。 「あ!ちょっと待って!だめだってば!」 どどどどうしよおおおおお!! あたしは咄嗟に猫を追いかけた。 あれがないとあたし、人間だってばれちゃうよー! ライが身につけておけと言ったブレスレット。 何より、ライがあたしのために作ってくれた大事な大事なブレスレット。 猫ちゃん、お願いだから返してー! あたしは必死に猫の後を追った。 ……… しばらく走ると、なんだかとても不気味な場所に来てしまった。 街から離れていて、人の気配がない。 目の前には森が広がっている。 「うそ…ここどこ?」 風が出てきたのか、周りの木々がざわざわと揺れ始めた。 辺りは薄暗い。 ええええ… ちょっとお… 怖いんですけど。 その時、茂みがガサッと音を立てて何かが飛び出してきた。 「ひゃあ!」 あたしは驚いて、その場に尻餅をついた。 目の前には恐ろしい怪物が立っていた。 「お前、人間か?なぜ人間がここにいる。」 全身が黒くて、人の形をしているけど、頭は異質。 赤い目がいくつも付いている。 背中には黒い羽が生えていた。 「きゃああ!」 あたしはあまりの恐怖に悲鳴を上げた。
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